素敵なのか
「素敵!」と後ろから声をかけられた。
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そんなわきゃなかった。
その女性は杖を持ってきてくれた。
そう、「ステッキ」置き忘れた。
昨年大腿骨骨折から、奇跡の回復を見せている86才母、友人とデパートに出かけ、杖を忘れる。
それを取りに行った帰りの出来事。
喫茶店に置き忘れるとこだった。
最近は「じゃまなんだろ、早く〇ねばいいんだろ」と恐ろしい言葉を吐く事も少なくなった母。
出かける寸前に直感で私の携帯番号を杖にセロテープで貼って良かった。
夕方〇武デパートから電話がかかってきて取りに行った。
トイレに置き忘れていたそうである。
ちなみに当日母は、トイレから出た後、友達とはぐれ、老人2人でデパートを探しまくったという。まるでゾンビゲームを彷彿とさせる出来事だった。
お友達(母よりしっかりしている)の機転でアナウンスと捜索をしてもらい、2時間ぐらいでようやく会えたとの事。
お友達のおばあさんの心労は相当なものだったと思う。大変だったろうと思うが、最近は慣れもあり、「そう言う事もあるだろう。無事でなにより」と思えるようになった。
さて、帰りの西〇線の電車の中、その杖を持ち、撮影用ドリアン(まま重い)を肩にさげて、電車に乗り込んだ。
するとはじっこに座っている美しい女性が話しかけて来た!!
え何?ドキドキ。
笑顔で話しかけてくる。
笑顔もとてもかわいくてステッキ、いや素敵だ。
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「どうぞ」と言いながら席を立とうとしている。
え?何で?え?譲る?もしかして俺の事、え?
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「わ、わしのこと、おじいさんと思ったんじゃな!(T_T)」
私は白髪が多く、風邪気味でマスクをしていた。
しかも重いドリアンを肩にさげ、決めては杖。
でもさ、服装はそんなじじくさくないっしょ?
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「いや違うんです。」とは言うのも何か変だ。
僕はおじいさんのふりをしながら杖をつきながら、
マスクがぺこぺこさせながら電車を降りた。
帰って当店でしか売ってないドリアンパフェでも食べようかの。
何だかしゃべり方もじじくさくなってきたわい。
しかし素敵な笑顔だったの。
冷凍ドリアン入荷しました。
食べたいときにドリアンが食べられる!